私のカルテ

当院では、在宅患者様や訪問看護を利用している患者様全員に「私のカルテ」をお渡ししています。

この「私のカルテ」は、「医療情報は本来、患者自身のもの」だからこそ患者の手元に
あるべき、という院長の先駆的なアイデアから、開院以来27年間継続して取り組んでいます。

 

「私のカルテ」の目的には2つあります。

まずは、情報開示。
「私たち医療者は、このようなあなたの医療やケアを提供させていただきます」という
ことを、きちんと記録を通してみていただけるようにしています。


もう一つは、情報共有。
在宅療養では、様々な人がその方の医療やケアに関わります。
地域で療養する患者様や家族の状況を、誰がいつ見ても分かるようにしています。

例えば救急で病院に運ばれたようなときにも、この「私のカルテ」を持っていけば、今までの
病気のことや最近の状況などが、すぐに詳細に理解してもらうことができます。
病院の方から「様子がよくわかったので、自分たちも素早く判断し対応ができました」と
コメントいただくこともあります。

また最近話題のACP:人生会議の中で大切な、患者本人の意思表明も、まず1ページ目に
記載していただくようになっています。

次のページには、病院やケアマネジャーなど連携しているところの連絡先のほか、
緊急連絡先や病歴、アレルギーなどの有無、ご家族の状況なども基本情報として記載
されています。

そして普段は、訪問時に、医師や看護師、薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパーなどが
その日のバイタルサインや処置・ケア、患者様の様子や対処したことなどを記載します。
外来患者様には、通院時持参していただいてます。
また、検査結果や説明用紙なども一緒に挟んで管理できるようになっています。

そして記録は、医療者だけでなく、患者本人や家族も書いて頂けるようになっています。
例えば、「朝食はパンとくだものが少し食べれた」「20時に腹痛があって、薬を飲んだ。そのあと朝まで
眠れた」など、医療者が訪問してない時の様子がよく分かり、大変助かっています。


「私のカルテ」は、日記でもあり、連絡ノートでもあり、意思表明でもあります。
患者様一人ひとりが、その人らしく安心して地域で暮らしていただけるよう、
これからも、もっと活用してきたいと思っています。